2005年08月12日
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僕は安全に対しての意識がとても低いです。外国などに行ったことが無く、世間知らずというこのが一番の理由だと思います。
ちょっと気になったので治安や安全について調べてみました。
個人的にびっくりしたのが、
夜は赤信号でもとまらないようにすることなどです。
確かに友人に聞いたときは、危険なのでボディーガードを雇っているという話を聞いたこともあります。あながち大げさではないんですね。
僕は安全に対しての意識がとても低いです。外国などに行ったことが無く、世間知らずというこのが一番の理由だと思います。
ちょっと気になったので治安や安全について調べてみました。
個人的にびっくりしたのが、
夜は赤信号でもとまらないようにすることなどです。
確かに友人に聞いたときは、危険なのでボディーガードを雇っているという話を聞いたこともあります。あながち大げさではないんですね。
以下見にくいかも知れませんが、
外務省 海外安全ホームページより引用しています。
在ポルトアレグレ
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I 一般犯罪
安全対策を考えるにあたっては、まず、実際の犯罪ケースをよく知ることが必要です。
以下にあげる例は、決して全てのケースを網羅している訳ではなく、いわば氷山の一角に過ぎません。しかし、どれも実際によく発生している事件であることを、ご承知いただければと思います。また、こうしたケースに関連して、随所にコメントが加えてあります。これらが、安全対策の全てではありませんが、皆様が安全について考える出発点となればと思います。
1. 外出・歩行中
(1) 信号やバスを待つ間に、バッグをナイフ等で切られ、中身をすり盗られたり、或いは、何気なく近づいてきた子供に、とっさに所持品をひったくられる。老人や女性が狙われやすく、ネックレス等の装飾品を引きちぎって奪い、一目散に逃走するケースも多い。
(2) 後頭部等を殴打されたり、強くタックルされ、押し倒される等ひるんだ隙に、所持品を奪われる。複数による犯行が多い。
(3) 突然数人の男や少年等に取り囲まれ、所持金品を強奪される。
《コメント》
外出時の所持品の携行には、相当の注意が必要です。当地の人が、ハンドバッグ等をタスキ掛けしている姿をよく見かけますが、これらのような被害を避けることが狙いです。
財布等を人目がつくズボンの後ろポケットに入れたり、バッグを体の左右や背後に回すような持ち方は避け、自分の目が届くようにします。貴金属類についても、特にネックレス等の装飾品は、ひったくりの標的になりやすいので、不必要に着用しない方がよいでしょう。後述する通り、犯人が引っ張ったがなかなか奪えず、首に出血するまで引っ張られるという気の毒な例もあります。
日本人の場合、こうした初歩的な点での不注意から、被害に遭ってしまうことが多いので、特に、街によく慣れていない場合は、よく注意することが重要です。
華美な装いになるほど、あるいは、一目で外国製とわかる衣服等は犯罪者の目を引きやすくなる傾向にあります。服装全般に気を配り、あまり目立つ服装で街頭を歩かない、周囲と同化するような服を着用するようにしましょう。また、パーティー出席等、フォーマルな服装や装飾品を身につける場合には、車を利用し、ドア・ツー・ドアで移動するようにします。
(4) ひったくりの被害に遭い、逃走する犯人を追いかけようとすると、ナイフ等の凶器を構えた別の仲間が立ちはだかり、進路の妨害を図るばかりでなく、実際に攻撃してくることもある。
《コメント》
犯罪者も頭を使っており、こうした二段構えになっていることが、往々にしてあります。特に、犯人が子供の場合、追いつくことも、取り押さえることも簡単そうなので、つい油断して後を追いがちです。しかし、隠れた場所に、仲間や犯罪指示を出す大人が存在する可能性があります。万一、盗難等の被害に遭った場合でも、慎重な対応が必要です。
(5) 知らない男に気軽な口調で呼び止められ、時間を尋ねられる。親切に腕時計を見てあげようとしているうちに、ひったくりに遭う。又は、そうした隙に乗じて、凶器を突きつけられ、所持品等を奪われる。
《コメント》
人の親切心を利用してくる、ちょっと巧妙な犯行手口です。冷たいようでも、見知らぬ人には、うっかり気を許さないようにしましょう。話しかけてくる人には、充分間合いを保ち、目を離さないことが必要です。
(6) 子供が通学途中で不審な少年数人組に取り囲まれ、衣類や学用品を奪われるケースが最近増えている。また、凶悪な少年グループも現れ、物盗りを目的とせず、寄り集まって暴行を加えることに終始するケースもある。
《コメント》
犯罪者側から見れば、反撃の可能性が少なく、逃亡も簡単であることから、弱者を狙う方がたやすいことは確かです。お子さまの安全については、特に充分配慮をする必要があります。
2. レンタカー等自動車の利用
(1) 駐車中の自動車の中から、置いておいた品物や、カーステレオを盗られるケースが非常に多く、この種の被害は後を絶たない。また、自動車そのものを、駐車中に持ち去られることも多い。
《コメント》
路上駐車が可能な場所であっても、周囲の安全と時間帯を考える必要があります。監視員のいる有料駐車場が近くにあれば、そちらを利用する方が遥かに安全です。盗難被害に遭うことを考えれば、駐車料金は安いものです。
また、路上駐車したり、無人の駐車場を利用せざるを得ない場合もありますので、盗難防止装置を備えておくとよいでしょう。一般的なものには、自動車のハンドルを固定する錠や、三角窓のこじ開け防止用に補強器具などがあります。しかし、これらを使用していても盗難に遭う場合が多く、最近では、正しい鍵を使わなければクラクションが鳴る警報装置や、ある操作をしなければ燃料が流れなくなる仕組みなど、新たな防犯装置が発売されています。
(2) 信号待ち等で停止中、開けていた窓から手を入れられ、時計やネックレスをむしり盗られる。ネックレスの場合、首に相当な怪我を被ることが多い。
(3) 停止中、数人の者が自動車に近寄り、拳銃を突きつけ、金品を強奪される。場合によっては、自動車ごと奪われることもある。
《コメント》
暑い夏に、クーラーのない自動車とはいえ、窓を不必要に開けていると、このような犯罪に出くわすことになりかねません。停止中は窓を閉めたり、手を入れられない程度に小さく開ける等、注意を怠らないようにしましょう。
また、周囲に対する注意は、自動車走行のため以外にも必要です。特に、夜間等の人気のない時間に、赤信号で停止している自動車は、強盗に狙われる可能性が高いようです。怪しい人物が近づくようであれば、いつでも発進できるように心掛けましょう。緊急避難という意味から、赤信号であっても、他の交通事故に注意した上で通過することは、充分正当化されます。
(4) 自動車運転中、軽く追突されたり接触されて停止すると、ぶつけてきた相手から所持品又は自動車を強奪される。
《コメント》
軽い事故であっても、簡単に外へ出ないようにし、まず、相手の様子に注意します。また、相手と話をする時も周辺の様子を観察し、場合によっては、人通りのある場所やガソリン・スタンドの近くなど、適当な場所まで移動することを考えましょう。
なお、交通事故に関しては、第II章をご参照ください。
(5) 駐車中の自動車のタイヤをパンクさせられ、パンクに気がついて考え込んだり、タイヤ交換をするところを襲われる。走り出してから気がついた場合でも、尾行され、車外に出る時を狙われることがある。
(6) 駐車中の自動車の中で同乗者等を待っている時、或いは、自動車から乗降する時に、凶器等で脅され、自動車を強奪される。
《コメント》
自動車の乗降の際は、特に周囲に注意します。パンク等の修理をする時も、場合によっては、人通りのある場所やガソリン・スタンド等、適当な場所へ移動しましょう。また、強盗だけでなく誘拐の危険性もありますので、駐車中の自動車の中にいることは避け、自動車から離れて待つようにします。
なお、(1)にも関連しますが、自動車を駐車する場所についても、充分注意が必要です。
(7) 走行中、側を走る自動車が、合図をして自動車の故障を教えてくれるので、確認のため停止して、車外に出たところを襲われる。
(8) 道ばたに、自動車の故障で困っている様子の人がいるため、自動車を止め、声をかけたところを襲われる。
《コメント》
親切心を装ったり、相手の親切心を利用した手口です。ブラジルの人には、親切で正直な人も多く、本当に故障を教えてくれたり、手伝ってくれたりという場合の方が多いでしょう。しかし、相手が見知らぬ人である限り、一定の警戒心は忘れない方が無難です。
3. 公共交通機関(バス、ロタソン、電車等)の利用
(1) 混雑した乗り物の中でのスリ。
(2) 乗降口の扉付近に立っている時、扉の開閉間際にハンドバッグ等をひったくられる。
《コメント》
外出・歩行中(第1項)と同様の注意が必要です。日本の通勤電車の中のように、居眠りをしたり、雑誌等に読みふけることは、隙を作るばかりです。2002年の日本におけるワールドカップを取材したブラジル人記者は日本人が電車内であまりにも無防備なことに対しあきれたという趣旨の記事を書いています。また、乗り物内での自分の位置についても、考えなければなりません。
(3) 武装した強盗(多くは複数)が乗り込んできて、所持品を奪われる。
《コメント》
このようなケースは、市街地ではあまり起こっていませんが、人通りのない寂しい場所を通る路線でよく起こります。乗り物の中も外出の一場面ということを忘れず、注意を怠らないようにしましょう。全く人気のない場所まで連れ去られるケースも珍しくありません。
万一強盗に遭ってしまった場合、周囲の状況を冷静に判断する必要があります。命の安全が最優先であり、100%の公算がない限り、逃走を図ったり抵抗することは危険と言えます。銀行や商店等(第4項)の注意もご参考にしてください。
(4) タクシーを降りて運転手に料金を渡す時に、ひったくりが走り寄って、お金を奪われる。
《コメント》
料金の受け渡しは、車内で行うことが大原則です。その上で、降車時には周囲の様子を確認しましょう。
なお、比較的良心的なタクシー運転手が多い当地では、特に夜には、客が建物に入るまで、周辺を警戒してくれる運転手もいます。しかし、全ての運転手ではありませんし、万一の場合は運転手も我が身の安全が第一ですので、多く期待することはできません。
(5) タクシーが、不必要に遠回りをしたり、料金メーターを倒さず、或い操作を加えたメーターで走行して、法外な料金を請求してくる。
《コメント》
良心的なタクシー運転手が多いのですが、悪質な運転手の存在も否定できません。特に、こちらが街に慣れていないことを察すると、口先でごまかしたり、強引に遠回りをして、高額な料金を請求される場合も相当あります。
特に、女性単独で乗車する場合に被害が多いので、充分注意する必要があります。また、運転手との軽い会話で道順を指定する等、街に不慣れであることを悟られないようにしましょう。
4. 銀行・商店等
(1) 店員や行員の不親切な対応や、長い待ち時間等で、神経が散っている隙を、スリに狙われる。
《コメント》
店員や行員の客扱いは、日本でのような丁寧さはありませんが、それがこちらの常識です。不慣れなうちは、こうした些細な日常の場面で、注意が別方向へ向いてしまいますが、安全への配慮は常に怠らないようにしましょう。
(2) 銀行や商店から出たところを、ひったくりや強盗に遭遇する。
《コメント》
銀行で多額の現金をおろした客をマークし、銀行を出た客の後をつけ、人通りの少ない場所で、現金を奪うという手口が多発したことがあります。複数犯によるものでは、狙った客の背中に気づかれないようにシール等を貼り、外で待ち構える仲間の目印にするパターンです。外部から見通せない造りの店舗内でも、こうした手段を取られる場合がありますので、常に周囲の状況に充分注意しましょう。第三者から見える形で、多額の現金を引き出したり、派手な買い物をすることは、当然ながら被害の可能性を高めます。
(3) 商店や銀行を襲う強盗事件(特に銀行)が、かなり発生している。
《コメント》
時間帯としては、その日の売上げ金が最高になる閉店間際が、最も強盗に入られやすいようです。防御方法がないため、万一遭遇した場合に備えての心得が必要です。
例えば、強盗の多くは、何よりもまず、ガードマンを制圧又は殺害を考えますから、ガードマンの近くには、なるべく近寄らない方がよいでしょう。
強盗が押し入ってきたときは、全般の状況判断が大切です。奇襲時は、店内の客の混乱状態を、強盗側はあっという間に制圧します。充分な公算なしに逃走を図ったり、或いは、冷静さを失って大声を発したりすることは危険です。目立たないように、無抵抗が原則でしょう。
5. 家庭内
(1) 留守中の空き巣による窃盗。
《コメント》
常に、戸締まりに注意することは当然ですが、一戸建てとアパートのいずれも、地上階以外の窓も空き巣の侵入口になる可能性があります。これらの窓の補強についても考えましょう。
また、たとえ、戸締まりを充分行っても、住人の不在を知ると、扉の鍵を破壊してこじ開ける等、乱暴な手口を使う場合があります。外出時には注意し、特に長期間の不在を悟られないようにします。
(2) 配達員等を装った強盗に、ドアを開けたところを凶器で脅され、押し入られる。
《コメント》
訪問者に対して、不用意に門を開けないようにしましょう。ドア・スコープや、チェーン・ロック等を備え、ドアを開けなくとも、相手と外の様子が確認できるようにすることが必要です。
(3) 家庭で使用している女中が、家の中の金品を持ち去って姿をくらましたり、強盗や空き巣の手引きをするケースがある。
《コメント》
掃除婦、洗濯等の補助として使用人を利用する場合、その採用に当たっては、充分検討する必要があります。できれば、信頼のおける人の紹介を得た、身元の確かな者が望ましいでしょう。
この種の職業は、多くは、教育を受ける機会に恵まれない階級の人が就いています。たとえ、本人に盗癖や強盗仲間との関係はなくても、出来心を起こさせないように、現金や貴重品の管理には気を配りましょう。また、あまり甘やかすと、色々な意味でつけ込まれる原因になるので、採用後も、充分な監督と教育が必要です。来訪者との応対や戸締まり等、一般的な注意事項は、充分教育しておきましょう。
現地に精通している使用人は、信頼関係を築けば、むしろ、家庭の安全確保の大切な一員として、大いに役立ってくれるものです。一方、不信を感じることがあれば、被害に遭わない前に、早期に解雇に踏み切るべきです。解雇に当たっては、逆恨みを買わないよう、充分な配慮、手当等を考えることも大切でしょう。
(4) 前居住者の女中から、家の鍵が泥棒の手に渡り、留守中に鍵を開けられ、空き巣に入られる。
《コメント》
前居住者やその使用人が持ち去った家の鍵が、泥棒の手に渡る可能性は皆無ではありません。入居が決まった場合、鍵は全て新たに交換する用心が必要です。また、使用人を解雇した場合も、鍵のコピーを所持している可能性があるので、鍵を交換する方がよいでしょう。
(5) アパートの門番や管理人に対して、日本的にかなり丁寧に接していたところ、特別な好意と思われ、部屋に強引に押し入られる。又、うまく言いこめられ、電話や地下ガレージの設備を勝手に使用される場合がある。
《コメント》
アパート等の集合住宅では、人の出入りや建物全体の管理・点検を、管理人や門番が行う場合があります。入居の際には、このシステムを24時間体制で行っている建物を選択するとよいでしょう。
しかし、アパート内の職員や隣人との人間関係において、ちょっとした好意が、かえって裏目に出ることもありますから、充分注意が必要です。これは、当地の身分階層意識や習慣の問題でもあるので、職場や家庭での使用人との接し方にもつながります。
(6) 電気の点検と称して、門番と一緒に技術者が訪れたため、扉を開けたところ、技術者は強盗が扮しているものであり、門番も制圧されて、部屋に押し入られる。
《コメント》
高級なアパートでも、必ずしも安心し切れない一例です。大都市のアパートでは、門番にも相当の訓練や教育を施し、住人との会話に暗号を使用する場合もあります。暗号を利用して、住人が居留守を使ったり、警察等に連絡する体制を整えていますが、当地ではまだ普及していないようです。
集合住宅に入居する場合、安全やアパート維持管理について、住民の間で定期的に会議を行う等、組織のしっかりした住居を選択するとよいでしょう。また、入居後も、このような会議に積極的に参加し、安全について、隣人と共に、日頃から考察と検討を行い、連絡体制の強化を進めるようにします。
なお、隣近所に限らず、できるだけ多くの良識ある知人との人間関係を築いておくと、相互扶助の形で、日常の安全対策の質を高めることにつながります。また、万一の際にも、事後対処を効率良く進めることができます。そして、何よりも、外国での日常生活を、より楽しく充実して送ることにもなるでしょう。
6. 勤務先
海外で仕事に励まれる皆様にとって、オフィスは、外出時の一場面かつ家庭内と同様の安全配慮が必要です。加えて、従業員についても、安全確保を考えましょう。
残念なことに、最近、当地でご活躍の邦人の方のオフィスが、強盗被害に遭遇するケースが続きました。この機会に、勤務先での安全に関して、不足している点、もっと強化できる点等について、改めて見直してみては如何でしょうか。
事例や基本的対策は、外出から家庭にわたる事項と殆ど重複します。更に、我が国が豊かな先進国である等の情報により、日本の企業を狙った営利誘拐等も充分考えられますので、以下の点についても注意が必要です。
(1)
(2)
(3) 従業員の身元や交友関係のチェック、及び、教育の充実。
警備員の雇用とその教育、及び、警備体制のあり方。
警備員を含めた従業員に対する、安全面に関する定期的な注意喚起。
(非常事態を仮定した警備訓練が効果的)
(4)
(5) 不在時のキャビネットや各出入り口の確実な施錠。
訪問者に対する応対。(オフィス内を勝手に歩き回らせない等。)
(6) 役員に関する情報管理の徹底。(外部の人間に対しては、役員の所在や旅行計画を明らかにしない、住所や電話番号、顔写真等の個人情報の管理等。)
(7) オフィス内及び周辺の警戒。(不審な人物や自動車、送り主不明の小包、所有者不明のカバン等。)
(8) 外出先での会話内容。(特に、社内の出来事や役員の出張・旅行計画等については、不用意に口にしない。)
(9) 出社・退社時間及び道順の検討。(人のいない時間はオフィスに行かない、毎日の通勤時は規則的な行動を取らない等。)
(10) オフィス外での行動の見直し。(接客時、常に同じレストランを利用する等、行動がパターン化しない等。)
II 交通事故
当地の主要道路は比較的よく舗装されていますが、全般的には、道幅が狭く、スリップしやすい石畳の道路が相当残っています。また、車線区分が不明瞭であったり、信号及び標識の管理にも不備が目立ちます。このような道路事情に加えて、一般に、交通マナーに問題があり、ブラジルは交通事故の世界チャンピオンとも言われています。
こうした中で、交通事故の加害者又は被害者とならないため、自動車の運転は慎重に行ってください。また、実質的には、歩行者よりも自動車が優先されていますので、歩行の場合も、日本とは異なる注意が必要です。
この項では、自動車を運転中の皆様が、万一事故に遭われた場合の処置や手続きについて、基本的なポイントを挙げます。
1. 軽微な接触、追突、対物事故
(1) 事故報告書の作成
交通規則上は、交通事故は全て、48時間以内に交通警察に出頭し、事故報告書(Ocorrencia de Acidente)を作成することとされています。この報告書は、保険金の請求に必要ですので、必ず作成するようにしましょう。
但し、負傷者がない物損事故では、警察は報告書の作成以外は介入せず、処罰等の法的措置に至らない場合がほとんどです。
なお、報告書なしで、保険会社の補償が出る例もあるようです。何らかの事情で、事故報告書を作成できなかった場合でも、保険会社に相談するとよいでしょう。
(2) 示談の場合
当事者のみで話をつける場合、過失責任、損失程度、損害額、支払い方法等を話し合います。双方の折り合いがつけば問題はありませんが、先方が過失を認めなかったり、理不尽な要求をする場合は、警察又は保険会社の手に委ねる方がよいでしょう。また、その場では過失を認めても、後日、事故事実そのものを否認する場合もあり、当事者のみの示談はリスクを伴います。
(3) 訴訟の場合
人身事故でない限り、警察は全く介入しません、過失者側がその非を認めないことが多く、示談がこじれることも往々にしてあります。
このため、当地では、たとえ軽微な接触事故であっても、訴訟に入ることも稀ではありません。ただし、弁護士の選択から始まり、裁判自体には相当の時間を要します。当地滞在期間に限度がある場合、被害額と裁判にかかる負担を比較してから、提訴するか判断するとよいでしょう。
(4) 警察への報告内容
上記(1)の事故報告書を作成する際のポイントです。 *
* 日時(○○月○○日○○時○○分頃)
人定事項(双方の運転者氏名、身分証明書番号、運転免許証番号、住所等)
*
* 自動車(車種、年式、色、自動車登録証番号等)
場所(○○通り○○番地を、○○から○○へ○○進行中、○○周辺で)
*
* 事故発生状況
被害程度
(5) 任意保険
当国の自動車強制保険は、補償金額が大変低く、あまり有効とはいえません。一方、任意保険は、その掛け金が高いため、未加入の自動車が相当あります。更に、任意保険に未加入の人は、経済的に余裕がない場合も多く、たとえ先方が過失責任を認めても、補償されないおそれがあります。万一の場合に備え、任意保険に加入することをお勧めします
2. 重大な被害や人身事故
(1) 負傷者救護
まず第一に、負傷者救護の義務があります。現場や負傷の状況によりますが、救急車を呼ぶ、通行中の第三者に援助を求める、自分の自動車で運ぶ等の手段で、負傷者を救急病院へ送る手配をとります。
(2) 警察への通報
負傷者救護の措置を取ったら、警察へ通報します。市街地であれば、パトロール中の警官が駆けつけたり、目撃者が通報する場合もあります。
(3) 現場検証
警察は、事故現場の交通整理に専念し、日本のような精密な現場検証は期待できません。しかし、後日の法的措置や損害賠償等に備えて、できる限り現場検証は、正確に行うように要求します。現場立ち会いの警察官については、氏名、所属、腕章番号等を控えておきましょう。
(4) 事後処理
現場検証の後、警察へ同行し、調書作成等の手続きを行います。また、事故状況や過失程度にもよっては、罰金、免許停止等の罰則が適用されます。
保険に加入している場合は、警察手続きと並行して、保険会社への連絡も行い、指示を受けることが大切です。
3. 交通事故に関するその他の心構え
これまでの事故処理は、あくまでも一般的な原則です。時には、事故現場が犯罪者の集まる場所であったり、事故の相手が悪質な犯罪者等で、自分の身に危険を感じる状況もあり得ます。このような場合は、取り急ぎ最寄りの警察に直行して事情を説明し、保護を求める等、状況判断を的確に行ってください。(なお、事故以外にも、自動車の故障等による立ち往生の可能性もあります。たとえ自動車で通り過ぎるだけであっても、危険地域には立ち入らない配慮が必要です。)
また、自動車の運転の際に、運転免許証を携行することは当然ですが、当国では、身分証明書の常時携帯が義務づけられています。更に、万一の場合に備えて、緊急連絡先等も併せて携行するとよいでしょう。
4. 事故に遭わないために
当地に住み慣れない間は、地理の不案内に加え、一方通行や右左折の制限等にも戸惑うことでしょう。街の地図を入手したり、街に詳しい人のアドバイスを受ける等、目的地までの道順は、予め計画を立てておくようにします。運転中は自動車の運行のみに専念し、雑多な心配事を少なくすることが、事故を防ぐことになります。
また、当地の運転マナーは大変悪く、強引な割り込みや追い越しは平気で行われ、信号無視や信号の変わり目の無理な通過も、かなり見受けられます。交通規則上の優先順位に関わらず、常に周囲の動きには気を配るようにしましょう。例えば、青信号であっても発進時の左右確認を行う、優先道路を走行中であっても油断せず、特に交差点では警戒する等です。
日本の常識と当地の常識は、必ずしも同じではありません。「郷に入っては郷に従え」の精神で、当地に馴染む努力をしましょう。I項でも触れたように、色々な情報をもたらす知人を増やし、当地社会へ融け込むようにしましょう。日常生活を楽しく快適にするばかりでなく、万一の場合には応援を得ることができ、安全対策に関しても大変心強いものです。
III テロ・ゲリラ等
日本経済の状況やその影響力を利用して、日本人を標的にした誘拐やテロ事件が、世界中で少なからず発生しています。幸い、現在のブラジルでは、テロリストやゲリラの活動は目立ちませんが、かつて在サンパウロ日本国総領事が、左翼テロリストに誘拐された事件もあります。また、世界が狭くなった現在、各国のテロリストがいつ何処で行動を起こすか、予断は許されません。この種の事件が発生する可能性は、皆無ではないことを念頭に置いてください。
また、現在の当国の状況では、政治的背景のある事件よりも、営利目的の事件に巻き込まれる危険性の方が、高いと言えます。日頃の行動に注意し、目立たない工夫をしましょう。詳細については、iの6項を参照してください。
この項では、万一、誘拐事件(拉致・監禁)に巻き込まれた場合の注意事項を挙げます。
1. 日常の注意
日本国内にいる限り、誘拐事件を想定して、日頃から準備を行う人は少ないでしょう。しかし、海外生活という状況では、100%完璧に防御できない限り、万一に備えておく方が賢明です。
(1) 書類の整理
身元関係書類や医療関係記録は、整理し、同僚や家族に分かるように保管しておきます。具体的には、身元関係書類として、旅券、保険証書、連絡先リスト等を揃えておきます。また、医療関係記録としては、病歴、血液型、常用薬品名とその入手先、持病、かかりつけの医師や歯科医の連絡先等を、書面にメモしておきます。
また、勤務先では、会社役員について、顔写真、身体的な特徴、可能であれば医療関係記録をまとめておくと、万一の時に役立ちます。
(2) 身の代金
身の代金支払い問題については、相談或いは委任する人物を定めておきます。その旨は、家族や限られた同僚に知らせておくとよいでしょう。
2. 非常時(制圧・監禁されている間)の注意
捕らえられ、孤独な状況に置かれても、家族、現地警察、日本官民等の多くの人々が、救出に努力していることを忘れないようにしてください。監禁生活は苦しいものですが、情勢を有利に導くため、常に冷静沈着を心掛けるようにします。
(1) 犯人との接触
犯人は、一見、理性的で分別のある人物かと思える場合もあります。しかし、犯罪に着手する人間であるからには、決して正常な行動をとるとは限りません。挑発したり、無用の刺激を与えないように、言動には充分注意してください。感情を抑え、毅然とした態度を取り、家族、友人、会社のことについては、なるべく話さないようにします。
更に、犯人との間に、人間関係を樹立するため、相手の話をよく聞き、関心を示すようにしますが、議論や批判は避けましょう。
なお、心身の健康を保つため、つとめて楽天的に考え、出された食物は何でも食べるようにします。また、犯人の指示にはできるだけ従い、特に身体的な争いは避けます。
(2) 逃走
一般的に、単独での逃走のチャンスはほとんどありません。救出に努力している人々を信じて、忍耐強く待つことが原則です。100%の公算がある時以外は、逃走を図らないことです。
(3) 移送時
犯人に連行される際は、移動の時間、方向、速度、距離に対して注意を払い、可能な限り、道標、臭い、声、周囲の音等の外界の動きや特徴を記憶しておきます。また、犯人との会話では、容貌、性格、動作、言葉の特徴などに注意しましょう。
(4) 釈放・解放時
犯人側と間違えられないように、両手を上げたり、首の後ろで組み、静かに出ます。
(5) 復帰後
拉致・監禁の被害者となったことにより、恥・罪・自己批判等を感じる場合がありますが、なるべくこれらの意識を持たず、元のライフスタイルに戻るように努めましょう。精神衛生専門医の助力を求めることも、一つの方法です。
外務省 海外安全ホームページより引用しています。
在ポルトアレグレ
-------------------------------------------
I 一般犯罪
安全対策を考えるにあたっては、まず、実際の犯罪ケースをよく知ることが必要です。
以下にあげる例は、決して全てのケースを網羅している訳ではなく、いわば氷山の一角に過ぎません。しかし、どれも実際によく発生している事件であることを、ご承知いただければと思います。また、こうしたケースに関連して、随所にコメントが加えてあります。これらが、安全対策の全てではありませんが、皆様が安全について考える出発点となればと思います。
1. 外出・歩行中
(1) 信号やバスを待つ間に、バッグをナイフ等で切られ、中身をすり盗られたり、或いは、何気なく近づいてきた子供に、とっさに所持品をひったくられる。老人や女性が狙われやすく、ネックレス等の装飾品を引きちぎって奪い、一目散に逃走するケースも多い。
(2) 後頭部等を殴打されたり、強くタックルされ、押し倒される等ひるんだ隙に、所持品を奪われる。複数による犯行が多い。
(3) 突然数人の男や少年等に取り囲まれ、所持金品を強奪される。
《コメント》
外出時の所持品の携行には、相当の注意が必要です。当地の人が、ハンドバッグ等をタスキ掛けしている姿をよく見かけますが、これらのような被害を避けることが狙いです。
財布等を人目がつくズボンの後ろポケットに入れたり、バッグを体の左右や背後に回すような持ち方は避け、自分の目が届くようにします。貴金属類についても、特にネックレス等の装飾品は、ひったくりの標的になりやすいので、不必要に着用しない方がよいでしょう。後述する通り、犯人が引っ張ったがなかなか奪えず、首に出血するまで引っ張られるという気の毒な例もあります。
日本人の場合、こうした初歩的な点での不注意から、被害に遭ってしまうことが多いので、特に、街によく慣れていない場合は、よく注意することが重要です。
華美な装いになるほど、あるいは、一目で外国製とわかる衣服等は犯罪者の目を引きやすくなる傾向にあります。服装全般に気を配り、あまり目立つ服装で街頭を歩かない、周囲と同化するような服を着用するようにしましょう。また、パーティー出席等、フォーマルな服装や装飾品を身につける場合には、車を利用し、ドア・ツー・ドアで移動するようにします。
(4) ひったくりの被害に遭い、逃走する犯人を追いかけようとすると、ナイフ等の凶器を構えた別の仲間が立ちはだかり、進路の妨害を図るばかりでなく、実際に攻撃してくることもある。
《コメント》
犯罪者も頭を使っており、こうした二段構えになっていることが、往々にしてあります。特に、犯人が子供の場合、追いつくことも、取り押さえることも簡単そうなので、つい油断して後を追いがちです。しかし、隠れた場所に、仲間や犯罪指示を出す大人が存在する可能性があります。万一、盗難等の被害に遭った場合でも、慎重な対応が必要です。
(5) 知らない男に気軽な口調で呼び止められ、時間を尋ねられる。親切に腕時計を見てあげようとしているうちに、ひったくりに遭う。又は、そうした隙に乗じて、凶器を突きつけられ、所持品等を奪われる。
《コメント》
人の親切心を利用してくる、ちょっと巧妙な犯行手口です。冷たいようでも、見知らぬ人には、うっかり気を許さないようにしましょう。話しかけてくる人には、充分間合いを保ち、目を離さないことが必要です。
(6) 子供が通学途中で不審な少年数人組に取り囲まれ、衣類や学用品を奪われるケースが最近増えている。また、凶悪な少年グループも現れ、物盗りを目的とせず、寄り集まって暴行を加えることに終始するケースもある。
《コメント》
犯罪者側から見れば、反撃の可能性が少なく、逃亡も簡単であることから、弱者を狙う方がたやすいことは確かです。お子さまの安全については、特に充分配慮をする必要があります。
2. レンタカー等自動車の利用
(1) 駐車中の自動車の中から、置いておいた品物や、カーステレオを盗られるケースが非常に多く、この種の被害は後を絶たない。また、自動車そのものを、駐車中に持ち去られることも多い。
《コメント》
路上駐車が可能な場所であっても、周囲の安全と時間帯を考える必要があります。監視員のいる有料駐車場が近くにあれば、そちらを利用する方が遥かに安全です。盗難被害に遭うことを考えれば、駐車料金は安いものです。
また、路上駐車したり、無人の駐車場を利用せざるを得ない場合もありますので、盗難防止装置を備えておくとよいでしょう。一般的なものには、自動車のハンドルを固定する錠や、三角窓のこじ開け防止用に補強器具などがあります。しかし、これらを使用していても盗難に遭う場合が多く、最近では、正しい鍵を使わなければクラクションが鳴る警報装置や、ある操作をしなければ燃料が流れなくなる仕組みなど、新たな防犯装置が発売されています。
(2) 信号待ち等で停止中、開けていた窓から手を入れられ、時計やネックレスをむしり盗られる。ネックレスの場合、首に相当な怪我を被ることが多い。
(3) 停止中、数人の者が自動車に近寄り、拳銃を突きつけ、金品を強奪される。場合によっては、自動車ごと奪われることもある。
《コメント》
暑い夏に、クーラーのない自動車とはいえ、窓を不必要に開けていると、このような犯罪に出くわすことになりかねません。停止中は窓を閉めたり、手を入れられない程度に小さく開ける等、注意を怠らないようにしましょう。
また、周囲に対する注意は、自動車走行のため以外にも必要です。特に、夜間等の人気のない時間に、赤信号で停止している自動車は、強盗に狙われる可能性が高いようです。怪しい人物が近づくようであれば、いつでも発進できるように心掛けましょう。緊急避難という意味から、赤信号であっても、他の交通事故に注意した上で通過することは、充分正当化されます。
(4) 自動車運転中、軽く追突されたり接触されて停止すると、ぶつけてきた相手から所持品又は自動車を強奪される。
《コメント》
軽い事故であっても、簡単に外へ出ないようにし、まず、相手の様子に注意します。また、相手と話をする時も周辺の様子を観察し、場合によっては、人通りのある場所やガソリン・スタンドの近くなど、適当な場所まで移動することを考えましょう。
なお、交通事故に関しては、第II章をご参照ください。
(5) 駐車中の自動車のタイヤをパンクさせられ、パンクに気がついて考え込んだり、タイヤ交換をするところを襲われる。走り出してから気がついた場合でも、尾行され、車外に出る時を狙われることがある。
(6) 駐車中の自動車の中で同乗者等を待っている時、或いは、自動車から乗降する時に、凶器等で脅され、自動車を強奪される。
《コメント》
自動車の乗降の際は、特に周囲に注意します。パンク等の修理をする時も、場合によっては、人通りのある場所やガソリン・スタンド等、適当な場所へ移動しましょう。また、強盗だけでなく誘拐の危険性もありますので、駐車中の自動車の中にいることは避け、自動車から離れて待つようにします。
なお、(1)にも関連しますが、自動車を駐車する場所についても、充分注意が必要です。
(7) 走行中、側を走る自動車が、合図をして自動車の故障を教えてくれるので、確認のため停止して、車外に出たところを襲われる。
(8) 道ばたに、自動車の故障で困っている様子の人がいるため、自動車を止め、声をかけたところを襲われる。
《コメント》
親切心を装ったり、相手の親切心を利用した手口です。ブラジルの人には、親切で正直な人も多く、本当に故障を教えてくれたり、手伝ってくれたりという場合の方が多いでしょう。しかし、相手が見知らぬ人である限り、一定の警戒心は忘れない方が無難です。
3. 公共交通機関(バス、ロタソン、電車等)の利用
(1) 混雑した乗り物の中でのスリ。
(2) 乗降口の扉付近に立っている時、扉の開閉間際にハンドバッグ等をひったくられる。
《コメント》
外出・歩行中(第1項)と同様の注意が必要です。日本の通勤電車の中のように、居眠りをしたり、雑誌等に読みふけることは、隙を作るばかりです。2002年の日本におけるワールドカップを取材したブラジル人記者は日本人が電車内であまりにも無防備なことに対しあきれたという趣旨の記事を書いています。また、乗り物内での自分の位置についても、考えなければなりません。
(3) 武装した強盗(多くは複数)が乗り込んできて、所持品を奪われる。
《コメント》
このようなケースは、市街地ではあまり起こっていませんが、人通りのない寂しい場所を通る路線でよく起こります。乗り物の中も外出の一場面ということを忘れず、注意を怠らないようにしましょう。全く人気のない場所まで連れ去られるケースも珍しくありません。
万一強盗に遭ってしまった場合、周囲の状況を冷静に判断する必要があります。命の安全が最優先であり、100%の公算がない限り、逃走を図ったり抵抗することは危険と言えます。銀行や商店等(第4項)の注意もご参考にしてください。
(4) タクシーを降りて運転手に料金を渡す時に、ひったくりが走り寄って、お金を奪われる。
《コメント》
料金の受け渡しは、車内で行うことが大原則です。その上で、降車時には周囲の様子を確認しましょう。
なお、比較的良心的なタクシー運転手が多い当地では、特に夜には、客が建物に入るまで、周辺を警戒してくれる運転手もいます。しかし、全ての運転手ではありませんし、万一の場合は運転手も我が身の安全が第一ですので、多く期待することはできません。
(5) タクシーが、不必要に遠回りをしたり、料金メーターを倒さず、或い操作を加えたメーターで走行して、法外な料金を請求してくる。
《コメント》
良心的なタクシー運転手が多いのですが、悪質な運転手の存在も否定できません。特に、こちらが街に慣れていないことを察すると、口先でごまかしたり、強引に遠回りをして、高額な料金を請求される場合も相当あります。
特に、女性単独で乗車する場合に被害が多いので、充分注意する必要があります。また、運転手との軽い会話で道順を指定する等、街に不慣れであることを悟られないようにしましょう。
4. 銀行・商店等
(1) 店員や行員の不親切な対応や、長い待ち時間等で、神経が散っている隙を、スリに狙われる。
《コメント》
店員や行員の客扱いは、日本でのような丁寧さはありませんが、それがこちらの常識です。不慣れなうちは、こうした些細な日常の場面で、注意が別方向へ向いてしまいますが、安全への配慮は常に怠らないようにしましょう。
(2) 銀行や商店から出たところを、ひったくりや強盗に遭遇する。
《コメント》
銀行で多額の現金をおろした客をマークし、銀行を出た客の後をつけ、人通りの少ない場所で、現金を奪うという手口が多発したことがあります。複数犯によるものでは、狙った客の背中に気づかれないようにシール等を貼り、外で待ち構える仲間の目印にするパターンです。外部から見通せない造りの店舗内でも、こうした手段を取られる場合がありますので、常に周囲の状況に充分注意しましょう。第三者から見える形で、多額の現金を引き出したり、派手な買い物をすることは、当然ながら被害の可能性を高めます。
(3) 商店や銀行を襲う強盗事件(特に銀行)が、かなり発生している。
《コメント》
時間帯としては、その日の売上げ金が最高になる閉店間際が、最も強盗に入られやすいようです。防御方法がないため、万一遭遇した場合に備えての心得が必要です。
例えば、強盗の多くは、何よりもまず、ガードマンを制圧又は殺害を考えますから、ガードマンの近くには、なるべく近寄らない方がよいでしょう。
強盗が押し入ってきたときは、全般の状況判断が大切です。奇襲時は、店内の客の混乱状態を、強盗側はあっという間に制圧します。充分な公算なしに逃走を図ったり、或いは、冷静さを失って大声を発したりすることは危険です。目立たないように、無抵抗が原則でしょう。
5. 家庭内
(1) 留守中の空き巣による窃盗。
《コメント》
常に、戸締まりに注意することは当然ですが、一戸建てとアパートのいずれも、地上階以外の窓も空き巣の侵入口になる可能性があります。これらの窓の補強についても考えましょう。
また、たとえ、戸締まりを充分行っても、住人の不在を知ると、扉の鍵を破壊してこじ開ける等、乱暴な手口を使う場合があります。外出時には注意し、特に長期間の不在を悟られないようにします。
(2) 配達員等を装った強盗に、ドアを開けたところを凶器で脅され、押し入られる。
《コメント》
訪問者に対して、不用意に門を開けないようにしましょう。ドア・スコープや、チェーン・ロック等を備え、ドアを開けなくとも、相手と外の様子が確認できるようにすることが必要です。
(3) 家庭で使用している女中が、家の中の金品を持ち去って姿をくらましたり、強盗や空き巣の手引きをするケースがある。
《コメント》
掃除婦、洗濯等の補助として使用人を利用する場合、その採用に当たっては、充分検討する必要があります。できれば、信頼のおける人の紹介を得た、身元の確かな者が望ましいでしょう。
この種の職業は、多くは、教育を受ける機会に恵まれない階級の人が就いています。たとえ、本人に盗癖や強盗仲間との関係はなくても、出来心を起こさせないように、現金や貴重品の管理には気を配りましょう。また、あまり甘やかすと、色々な意味でつけ込まれる原因になるので、採用後も、充分な監督と教育が必要です。来訪者との応対や戸締まり等、一般的な注意事項は、充分教育しておきましょう。
現地に精通している使用人は、信頼関係を築けば、むしろ、家庭の安全確保の大切な一員として、大いに役立ってくれるものです。一方、不信を感じることがあれば、被害に遭わない前に、早期に解雇に踏み切るべきです。解雇に当たっては、逆恨みを買わないよう、充分な配慮、手当等を考えることも大切でしょう。
(4) 前居住者の女中から、家の鍵が泥棒の手に渡り、留守中に鍵を開けられ、空き巣に入られる。
《コメント》
前居住者やその使用人が持ち去った家の鍵が、泥棒の手に渡る可能性は皆無ではありません。入居が決まった場合、鍵は全て新たに交換する用心が必要です。また、使用人を解雇した場合も、鍵のコピーを所持している可能性があるので、鍵を交換する方がよいでしょう。
(5) アパートの門番や管理人に対して、日本的にかなり丁寧に接していたところ、特別な好意と思われ、部屋に強引に押し入られる。又、うまく言いこめられ、電話や地下ガレージの設備を勝手に使用される場合がある。
《コメント》
アパート等の集合住宅では、人の出入りや建物全体の管理・点検を、管理人や門番が行う場合があります。入居の際には、このシステムを24時間体制で行っている建物を選択するとよいでしょう。
しかし、アパート内の職員や隣人との人間関係において、ちょっとした好意が、かえって裏目に出ることもありますから、充分注意が必要です。これは、当地の身分階層意識や習慣の問題でもあるので、職場や家庭での使用人との接し方にもつながります。
(6) 電気の点検と称して、門番と一緒に技術者が訪れたため、扉を開けたところ、技術者は強盗が扮しているものであり、門番も制圧されて、部屋に押し入られる。
《コメント》
高級なアパートでも、必ずしも安心し切れない一例です。大都市のアパートでは、門番にも相当の訓練や教育を施し、住人との会話に暗号を使用する場合もあります。暗号を利用して、住人が居留守を使ったり、警察等に連絡する体制を整えていますが、当地ではまだ普及していないようです。
集合住宅に入居する場合、安全やアパート維持管理について、住民の間で定期的に会議を行う等、組織のしっかりした住居を選択するとよいでしょう。また、入居後も、このような会議に積極的に参加し、安全について、隣人と共に、日頃から考察と検討を行い、連絡体制の強化を進めるようにします。
なお、隣近所に限らず、できるだけ多くの良識ある知人との人間関係を築いておくと、相互扶助の形で、日常の安全対策の質を高めることにつながります。また、万一の際にも、事後対処を効率良く進めることができます。そして、何よりも、外国での日常生活を、より楽しく充実して送ることにもなるでしょう。
6. 勤務先
海外で仕事に励まれる皆様にとって、オフィスは、外出時の一場面かつ家庭内と同様の安全配慮が必要です。加えて、従業員についても、安全確保を考えましょう。
残念なことに、最近、当地でご活躍の邦人の方のオフィスが、強盗被害に遭遇するケースが続きました。この機会に、勤務先での安全に関して、不足している点、もっと強化できる点等について、改めて見直してみては如何でしょうか。
事例や基本的対策は、外出から家庭にわたる事項と殆ど重複します。更に、我が国が豊かな先進国である等の情報により、日本の企業を狙った営利誘拐等も充分考えられますので、以下の点についても注意が必要です。
(1)
(2)
(3) 従業員の身元や交友関係のチェック、及び、教育の充実。
警備員の雇用とその教育、及び、警備体制のあり方。
警備員を含めた従業員に対する、安全面に関する定期的な注意喚起。
(非常事態を仮定した警備訓練が効果的)
(4)
(5) 不在時のキャビネットや各出入り口の確実な施錠。
訪問者に対する応対。(オフィス内を勝手に歩き回らせない等。)
(6) 役員に関する情報管理の徹底。(外部の人間に対しては、役員の所在や旅行計画を明らかにしない、住所や電話番号、顔写真等の個人情報の管理等。)
(7) オフィス内及び周辺の警戒。(不審な人物や自動車、送り主不明の小包、所有者不明のカバン等。)
(8) 外出先での会話内容。(特に、社内の出来事や役員の出張・旅行計画等については、不用意に口にしない。)
(9) 出社・退社時間及び道順の検討。(人のいない時間はオフィスに行かない、毎日の通勤時は規則的な行動を取らない等。)
(10) オフィス外での行動の見直し。(接客時、常に同じレストランを利用する等、行動がパターン化しない等。)
II 交通事故
当地の主要道路は比較的よく舗装されていますが、全般的には、道幅が狭く、スリップしやすい石畳の道路が相当残っています。また、車線区分が不明瞭であったり、信号及び標識の管理にも不備が目立ちます。このような道路事情に加えて、一般に、交通マナーに問題があり、ブラジルは交通事故の世界チャンピオンとも言われています。
こうした中で、交通事故の加害者又は被害者とならないため、自動車の運転は慎重に行ってください。また、実質的には、歩行者よりも自動車が優先されていますので、歩行の場合も、日本とは異なる注意が必要です。
この項では、自動車を運転中の皆様が、万一事故に遭われた場合の処置や手続きについて、基本的なポイントを挙げます。
1. 軽微な接触、追突、対物事故
(1) 事故報告書の作成
交通規則上は、交通事故は全て、48時間以内に交通警察に出頭し、事故報告書(Ocorrencia de Acidente)を作成することとされています。この報告書は、保険金の請求に必要ですので、必ず作成するようにしましょう。
但し、負傷者がない物損事故では、警察は報告書の作成以外は介入せず、処罰等の法的措置に至らない場合がほとんどです。
なお、報告書なしで、保険会社の補償が出る例もあるようです。何らかの事情で、事故報告書を作成できなかった場合でも、保険会社に相談するとよいでしょう。
(2) 示談の場合
当事者のみで話をつける場合、過失責任、損失程度、損害額、支払い方法等を話し合います。双方の折り合いがつけば問題はありませんが、先方が過失を認めなかったり、理不尽な要求をする場合は、警察又は保険会社の手に委ねる方がよいでしょう。また、その場では過失を認めても、後日、事故事実そのものを否認する場合もあり、当事者のみの示談はリスクを伴います。
(3) 訴訟の場合
人身事故でない限り、警察は全く介入しません、過失者側がその非を認めないことが多く、示談がこじれることも往々にしてあります。
このため、当地では、たとえ軽微な接触事故であっても、訴訟に入ることも稀ではありません。ただし、弁護士の選択から始まり、裁判自体には相当の時間を要します。当地滞在期間に限度がある場合、被害額と裁判にかかる負担を比較してから、提訴するか判断するとよいでしょう。
(4) 警察への報告内容
上記(1)の事故報告書を作成する際のポイントです。 *
* 日時(○○月○○日○○時○○分頃)
人定事項(双方の運転者氏名、身分証明書番号、運転免許証番号、住所等)
*
* 自動車(車種、年式、色、自動車登録証番号等)
場所(○○通り○○番地を、○○から○○へ○○進行中、○○周辺で)
*
* 事故発生状況
被害程度
(5) 任意保険
当国の自動車強制保険は、補償金額が大変低く、あまり有効とはいえません。一方、任意保険は、その掛け金が高いため、未加入の自動車が相当あります。更に、任意保険に未加入の人は、経済的に余裕がない場合も多く、たとえ先方が過失責任を認めても、補償されないおそれがあります。万一の場合に備え、任意保険に加入することをお勧めします
2. 重大な被害や人身事故
(1) 負傷者救護
まず第一に、負傷者救護の義務があります。現場や負傷の状況によりますが、救急車を呼ぶ、通行中の第三者に援助を求める、自分の自動車で運ぶ等の手段で、負傷者を救急病院へ送る手配をとります。
(2) 警察への通報
負傷者救護の措置を取ったら、警察へ通報します。市街地であれば、パトロール中の警官が駆けつけたり、目撃者が通報する場合もあります。
(3) 現場検証
警察は、事故現場の交通整理に専念し、日本のような精密な現場検証は期待できません。しかし、後日の法的措置や損害賠償等に備えて、できる限り現場検証は、正確に行うように要求します。現場立ち会いの警察官については、氏名、所属、腕章番号等を控えておきましょう。
(4) 事後処理
現場検証の後、警察へ同行し、調書作成等の手続きを行います。また、事故状況や過失程度にもよっては、罰金、免許停止等の罰則が適用されます。
保険に加入している場合は、警察手続きと並行して、保険会社への連絡も行い、指示を受けることが大切です。
3. 交通事故に関するその他の心構え
これまでの事故処理は、あくまでも一般的な原則です。時には、事故現場が犯罪者の集まる場所であったり、事故の相手が悪質な犯罪者等で、自分の身に危険を感じる状況もあり得ます。このような場合は、取り急ぎ最寄りの警察に直行して事情を説明し、保護を求める等、状況判断を的確に行ってください。(なお、事故以外にも、自動車の故障等による立ち往生の可能性もあります。たとえ自動車で通り過ぎるだけであっても、危険地域には立ち入らない配慮が必要です。)
また、自動車の運転の際に、運転免許証を携行することは当然ですが、当国では、身分証明書の常時携帯が義務づけられています。更に、万一の場合に備えて、緊急連絡先等も併せて携行するとよいでしょう。
4. 事故に遭わないために
当地に住み慣れない間は、地理の不案内に加え、一方通行や右左折の制限等にも戸惑うことでしょう。街の地図を入手したり、街に詳しい人のアドバイスを受ける等、目的地までの道順は、予め計画を立てておくようにします。運転中は自動車の運行のみに専念し、雑多な心配事を少なくすることが、事故を防ぐことになります。
また、当地の運転マナーは大変悪く、強引な割り込みや追い越しは平気で行われ、信号無視や信号の変わり目の無理な通過も、かなり見受けられます。交通規則上の優先順位に関わらず、常に周囲の動きには気を配るようにしましょう。例えば、青信号であっても発進時の左右確認を行う、優先道路を走行中であっても油断せず、特に交差点では警戒する等です。
日本の常識と当地の常識は、必ずしも同じではありません。「郷に入っては郷に従え」の精神で、当地に馴染む努力をしましょう。I項でも触れたように、色々な情報をもたらす知人を増やし、当地社会へ融け込むようにしましょう。日常生活を楽しく快適にするばかりでなく、万一の場合には応援を得ることができ、安全対策に関しても大変心強いものです。
III テロ・ゲリラ等
日本経済の状況やその影響力を利用して、日本人を標的にした誘拐やテロ事件が、世界中で少なからず発生しています。幸い、現在のブラジルでは、テロリストやゲリラの活動は目立ちませんが、かつて在サンパウロ日本国総領事が、左翼テロリストに誘拐された事件もあります。また、世界が狭くなった現在、各国のテロリストがいつ何処で行動を起こすか、予断は許されません。この種の事件が発生する可能性は、皆無ではないことを念頭に置いてください。
また、現在の当国の状況では、政治的背景のある事件よりも、営利目的の事件に巻き込まれる危険性の方が、高いと言えます。日頃の行動に注意し、目立たない工夫をしましょう。詳細については、iの6項を参照してください。
この項では、万一、誘拐事件(拉致・監禁)に巻き込まれた場合の注意事項を挙げます。
1. 日常の注意
日本国内にいる限り、誘拐事件を想定して、日頃から準備を行う人は少ないでしょう。しかし、海外生活という状況では、100%完璧に防御できない限り、万一に備えておく方が賢明です。
(1) 書類の整理
身元関係書類や医療関係記録は、整理し、同僚や家族に分かるように保管しておきます。具体的には、身元関係書類として、旅券、保険証書、連絡先リスト等を揃えておきます。また、医療関係記録としては、病歴、血液型、常用薬品名とその入手先、持病、かかりつけの医師や歯科医の連絡先等を、書面にメモしておきます。
また、勤務先では、会社役員について、顔写真、身体的な特徴、可能であれば医療関係記録をまとめておくと、万一の時に役立ちます。
(2) 身の代金
身の代金支払い問題については、相談或いは委任する人物を定めておきます。その旨は、家族や限られた同僚に知らせておくとよいでしょう。
2. 非常時(制圧・監禁されている間)の注意
捕らえられ、孤独な状況に置かれても、家族、現地警察、日本官民等の多くの人々が、救出に努力していることを忘れないようにしてください。監禁生活は苦しいものですが、情勢を有利に導くため、常に冷静沈着を心掛けるようにします。
(1) 犯人との接触
犯人は、一見、理性的で分別のある人物かと思える場合もあります。しかし、犯罪に着手する人間であるからには、決して正常な行動をとるとは限りません。挑発したり、無用の刺激を与えないように、言動には充分注意してください。感情を抑え、毅然とした態度を取り、家族、友人、会社のことについては、なるべく話さないようにします。
更に、犯人との間に、人間関係を樹立するため、相手の話をよく聞き、関心を示すようにしますが、議論や批判は避けましょう。
なお、心身の健康を保つため、つとめて楽天的に考え、出された食物は何でも食べるようにします。また、犯人の指示にはできるだけ従い、特に身体的な争いは避けます。
(2) 逃走
一般的に、単独での逃走のチャンスはほとんどありません。救出に努力している人々を信じて、忍耐強く待つことが原則です。100%の公算がある時以外は、逃走を図らないことです。
(3) 移送時
犯人に連行される際は、移動の時間、方向、速度、距離に対して注意を払い、可能な限り、道標、臭い、声、周囲の音等の外界の動きや特徴を記憶しておきます。また、犯人との会話では、容貌、性格、動作、言葉の特徴などに注意しましょう。
(4) 釈放・解放時
犯人側と間違えられないように、両手を上げたり、首の後ろで組み、静かに出ます。
(5) 復帰後
拉致・監禁の被害者となったことにより、恥・罪・自己批判等を感じる場合がありますが、なるべくこれらの意識を持たず、元のライフスタイルに戻るように努めましょう。精神衛生専門医の助力を求めることも、一つの方法です。