2004年09月13日
このエントリーをはてなブックマークに追加
9/9のblogにコメントを頂きました。要約すると、
分割が株価上昇になるのか?
1、株価の下落による投資家の裾野の広がり
2、分割=好業績というイメージからの買い

という理由で買われ、株価が上昇するのではないか。といった内容でした。


さて、分割による株価の上昇は、上記2つも当てはまることが多いですが、
それ以上に、「需給の変化による株価上昇」が主なものです。

「需給の変化」ということですが、これは分割前の株価は
買いたい人=株価=売りたい人 ということで、均衡が取れていました。

しかし、分割が行われることによって上記のバランスが崩れてしまうのです。
大幅な分割を行えば、それだけ大きくバランスは崩れます。

100円の株価で1000株発行している会社があるとします。
100円×1000株 = 100,000円 がこの会社の株式時価総額となります。

2分割されると、
50円×2000株 = 100,000円 ということで変化がありません。

これだけであれば、分割は上昇も下落も招きません。

しかし、実際には分割で増えた株式は実際に売買できるようになるまでに
タイムラグがある
ということです。
この場合、
50円×1000株 = 50,000円 がすぐ売買できる総額
50円×1000株 = 50,000円 がすぐには売買できない総額
両者を足すことによって、やはり100,000円の総額は変わりません。

経済の基礎を思い出すと、需要と供給の法則というものがあります。

消費者は
商品の値段が安ければ安いほど、その商品を欲しがる人は増える。
逆に商品の値段が高ければ高いほど、その商品を欲しがる人は減る。

企業は
安ければたくさん売れるし薄利多売するので、たくさん作る。
高ければそんなに売れず、利益率も高いので少ししか作らない。

こうした、消費者と企業の需給の結果として商品の価格と販売量は決定されます。

株も一緒です。
つまり今までの100円とくらべ、価格が大幅に下がりました。
しかし供給である2000株のうち、最初の期間は1000株分しか売買できません。
つまり、価格が下がり、供給量が変化ないということになります。

この場合、価格の上昇か、商品の増産という形で均衡するのですが、株の場合は増産できないので、
価格の上昇という決着を見ることになるのです。


さらに、分割は話題となりやすいので、大きく注目をあびます。
さらにそれが新たな投資家の流入を招き、さらに株価が上昇しやすくなる。
という循環が生まれるのです。

なお、株を分割するのに業績による制限は無かったと思いますので、業績を期待するのは根拠が無いかと。
ただ、好業績による分割と財務諸表が汚れている場合による分割の二つに分かれるみたいです。



stock_value at 11:28│Comments(1)TrackBack(0) 

トラックバックURL

この記事へのコメント

1. Posted by kikuyooo   2004年09月13日 14:49
なるほど、分割により株価が変動するというメカニズムがよくわかりました。

通常は子株還流によって、そもそもの時価総額と同価値の「株価・発行数」を維持することになるのに、ライブドアはその子株還流という“あるべき時価総額に応じた株価”に調整されるという過程を、分割に次ぐ分割で避けているということになるのですね。(厳密にいえば、子株還流して株価下落直後に、再度分割だと思いますが。)

日本国が国債の増発に次ぐ増発で、デフォルトになるのを避けているのと構造的に似ているように思います。もっともこの場合、国債の金利負担はそのまま当事者(日本国)のものになり、自分の首をしめるという構造になりますが、ライブドアの場合、しわ寄せはネット証券等の証券会社にくるのでしょうね。ネット証券では一日に数十回まで取引をしても定額であったりして、発行済株式数の増加はそれら証券会社にとって、コストの源でしかないんでしょうし。

改めて整理すると、
子株還流→株価下落→分割→一時期の好需給による株価上昇→子株還流
という流れでしょうか。
でもこれだと、やはり株価下落局面の先延ばしという、一時的な回避にすぎませんよね。
その間に企業買収をするというのはメリットになりますが。

この記事にコメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価: 顔