2004年11月01日
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※今回、性善説について意見を書こうと思ったのですが、
※監視についての話も多くなってしまい、テーマが分かりにくくなってしまいました。
※そのため、近いうちに、再度「性善説」と「監視=プライバシー侵害」について書きたいと思います。


システムを提供する側になると、そして責任ある立場になると、
いつも性善説か性悪説かで迷うことになります。
そして、大多数の社長・管理者は性悪説を取ることになります。。

システムとは、非常によくできたもので、
ユーザーの操作をすべて記録、復元することもできるし、
メールの送受信の内容を読むなどは、かなり簡単です。。

もちろん、どんなホームページを見ているかチェックすることもできるし、
興味本位で、管理職のユーザー名・パスワードをイタズラで入力したときにも、
警告することだってできます。。

つまり、ユーザーのプライバシーなど、存在しません。


このこと自体はまったく問題ありません。むしろ情報漏洩( じょうほうろうえい )を防止
する必要から、ユーザーの操作を監視・管理するのは、当然のことだと考えます。。


しかし、よく考えてみると、大きな問題があるのです。




私たちが、今までの生活の中で他人のプライバシーを侵すことが容易にできる
「状態」になったことがあるでしょうか???

おそらく無いと思います。

そして、システム導入によってプライバシーを容易に犯すことができるようになるのです。
自分のプライバシーは守りながら・・・。

社員数が多ければ、メールのすべてを確認することなどできないのですが、
少ない人数では、全てを監視することができます。
そのときは、経営リスク除去のためにメールを読んでいるのか、プライバシーを侵したいので
メールを読んでいるのか。。。
かなり微妙だと思うのです。

たとえばそれは、20歳になってお酒を飲めるようになり、二日酔いするほど、人に迷惑をかけるほど
飲みすぎるのと一緒だと思います。「調子に乗って」とか、「新鮮」ゆえに。


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僕が以前、友達にチャットを貸してあげたことがあります。
僕がサーバーを用意し、設定を行い使えるように。

そのチャットは、グループでもチャットができますし、グループの特定の個人に対してだけ、
内緒話として、2人だけでの会話もできるようになっていました。

管理者は、全員のチャット状況を知ることができる (あたりまえですが) と共に、
2人だけの内緒話も、特別に見ることができたのです。

僕は、当然他人の内緒話など興味が無いですし、「トラブルが起きたときに使えば」ぐらいに
思っていました。もちろん、2人だけの会話をのぞき見るような、そんな「ヤバメ」の機能を友達には
伝えませんでしたし、僕も一度も見ませんでした。動作確認をしたときに使ったぐらいです。

しかし、友達がある日、管理者ページを使いたいから、パスワードを教えて欲しいと言って来ました。
僕は、プライバシーをのぞくのが目的だったらいやなので、あえて内緒話を除き見ることができないように
カスタマイズしてから、友達に管理者ページのパスワードを教えました。

しかし、友達は、内緒話の確認がしたかったようで、
「ねー、これで全部の機能が使えるようになってるの?」と聞いてきます。
僕は、「内緒話を見る機能はけずったけど、それ以外なら全部使えるよ。多分それで問題ないと思うよ。
もしイタズラとかがあれば、言ってくれればまた何か対策考えるよ」
と回答したのですが、
友達が
「俺が管理者なんだし、内緒話確認できる機能が使えないなんておかしいじゃん?」といってきました。

「そうだけど、プライバシーの侵害を積極的にしてもしょうがないし、(友達も) 積極的に見るわけじゃないでしょ?
それならいらないんじゃない?」
と答えたのですが、ラチがあかず、結局内緒話も見れるようにしました。

その後、比較的すぐチャットは閑散としてしまったので、友達が管理機能をどのように使ったかは分かりません。

しかし、プライバシーを覗き見ることへの誘惑があったことは確かだと考えています。
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そうしたことから、性悪説=プライバシーを暴く。ということではないのです。
経営者である以上、リスクをヘッジするのはとても大切なことです。
しかし、信じないことによりヘッジするのはどうなのでしょうか。

僕は、「甘い」ほどに性善説を信じているので、ちゃんとした経営者としては
向いていないのかもしれません。

僕は、すでに軽い管理者としての立場を有することも多くなりました。
しかし、興味本位というくだらない理由でメールやHPを監視することなどなく、
監視する場合は、どうしてもという理由でのみ確認するのは、管理者としてあたりまえのことだと思います。

stock_value at 14:21│Comments(2)TrackBack(0)考え:04〜07年 

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この記事へのコメント

1. Posted by kikuyooo   2004年11月04日 18:16
なにやら、syoさんと私のコミュニケーションは、タイミング上かみ合わないですね(笑)

さて、本題についてですが、欧米のどこかのアンケートによると、社員の30%近くが、メールもしくはチャットにより、業務と関係の無いコミュニケーションを業務中にしたことがある(orしている)ということです。これはすなわち、雇用者が想定している労働時間が、システムの不正利用により、一部減少していることを指します。今のご時世、PCと向かい合うのがデスクワークとなっていますから、これは外見では仕事をしているのか、サボっているのか、わからないでしょう。

従業員は勤務時間中は業務遂行に全力を尽くすべきではあるのですが、やはり人間という生き物は、特に外部からの影響が無ければ、楽な方に流れてしまう傾向があると思います。

それを防ぎ、支払った賃金に見合う労働を要求するのならば、システムを監視せざるを得ないと思います。労働の対価として賃金を払っている以上、それは必然でしょう。

もっとも現代では、サービス残業で相当の未払い賃金が潜在していることも考えられ、従業員が支給される賃金よりも、過多の労働力を提供しているということもありますので、「支払った賃金に見合う働きをさせる」ためにシステムで監視をするということが、即、適正な雇用・賃金関係を実現するとは考えにくいでしょう。
2. Posted by syo   2004年11月09日 09:20
労働の対価もまた正当な評価をされているのかは、微妙ですしね。

同じ労働内容でも、大企業と中小企業では評価額が違いますし。
本社の人、子会社の人、出向の人、派遣の人。。
それぞれが働くような職場を想像すれば歴然です。

別にだからどうだってワケじゃありませんが、
倫理とか道徳を前面に押し出しながら、実は企業の論理を押し付けられているのではないかと
考えるのです。

とはいっても、僕は労組活動してるわけじゃないんで、そんなことは正確にはわかりませんが。

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